途上国の家庭に光をとどけるソーラーランタンの発明
米国アキュメンファンドの投資先としてよく取り上げられる途上国向けソーラーランタンを販売するD. Light社。2007年創業以降、アキュメンファンドやオミダイアネットワークといったいわゆる「インパクト投資」家から資金調達し、商品開発と初期のビジネスモデルの検証を進めてきました。
また、こうしたインパクト投資家の他、援助機関や米国のビジネススクールの研究者などにも支えられながら、実験と失敗を繰り返しながら途上国向けソーラーランタンビジネスの課題、ブレークスルーの方法などを学び続けてきました。(D. Lightに関するケーススタディーやレポートも多く出ていますので、関心のある方はぜひご覧ください。)
社会的インパクトと経済的リターンを両立する存在へ成長したD.Light。今後追随するベンチャーに与える影響は・・?
そんな途上国インパクト投資先の典型例であるD. Lightですが、近年では決して「社会的インパクト」志向ではないベンチャーキャピタルからも資金調達し、一気にグローバル展開を加速させようとしていることをご存知でしょうか。
例えば、今年の春には米国の複数のベンチャーキャピタルから総額1100万米ドルの資金調達を果たしました。その中にはTESLA、SPACE X、Twitter、Skypeなどに投資するDFJベンチャーズも含まれているようです。
(参考文献: Solar Lanterns Scale Up as D.light Reaches 10 million Units D.Light Raises $11 Million to Light Up Developing World )
D. Lightの販売台数は全世界で1000万台を突破、新興途上国で独自の流通網を築きあげています。地域によっては現地にチャネルを持つ大手エネルギー企業と連携し、販路をさらに拡大しようとしているようです。(2013年のSOCAPでは仏エネルギー企業Total S.A.とD.Lightの連携について取り上げたセッションが開催されました。)
D. Lightの創業から8年近くが経ち、社会的リターンだけでなく、経済的リターンとしても魅力的な商品とビジネスモデルを確立しはじめた、ということなのでしょう。この8年間の溝を埋めるものが、忍耐強い資本(ペイシェントキャピタル)だったわけですが、忍耐強く待ち、挑戦を続けてきた/支援を続けてきた結果が、ついに見え始めているように思います。こうしたD. Lightのような社会的インパクト志向のベンチャーが今後一層増えていくと面白いですね。 D. Lightをケースとして「社会的インパクト投資」について再考する勉強会ミートアップ@Impact HUB Tokyoもやっていきたいと思いますので、ご関心のある方はinfo@hubtokyo.comまでお知らせください!
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