- 2015-8-23
- インパクト, 組織
- インパクト投資, コーポレート・ベンチャー・キャピタル, ソーシャル・イノベーション
今回は7/24(金)に開催した「インパクト投資の最前線はここだ!:G8タスクフォースチーム、ロンドン出張報告ミートアップ」の報告レポです。ご関心のある方は以下から他の記事もご覧ください!
第1回「なぜ、どうやってインパクトを評価するのか?」
第2回「地域金融とインパクト投資の共通点と違い」
第3回「大企業にとってのインパクト投資=コーポレートベンチャーキャピタル?」
第4回「ソーシャル・インパクト・ボンドの「失敗」
国内企業のインパクト投資への反応
イベント後半にゲストとして参加して下さったのは、大企業によるインパクト投資について研究とコンサルティングを行っている日本総合研究所の菅野さん。
(参考URL:https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/7108.pdf)
金融機関では上場企業の非財務情報を評価するESG投資が主流になってきているが、世界的にはその次の一手としてインパクト投資への注目が高まっている
ー 日本総合研究所:菅野文美
日本の大企業とインパクト投資の実践者は分断されている、と話す菅野さん。大企業を金融機関と事業会社に分けた場合、金融機関では上場企業の非財務情報を評価するESG投資が主流になってきているが、世界的にはその次の一手としてインパクト投資への注目が高まってきているそうです。
例えば先日ゴールドマンサックスがインパクト投資のアドバイザリーを行うImprint Capitalを買収したことが話題になりましたが、世界ではこうしたメインストリームの金融機関による積極的なインパクト投資への参入の流れが加速しています。
一方で日本企業の取り組みは遅れている印象があるようです。その理由のひとつに、インパクト投資市場に参入するメリットが認識されていないのでは、と菅野さんは語ります。そんな中、大企業はR&Dによってインパクト投資に取り組もうという流れも起きています。
多くの企業にとってイノベーション創発への危機感は高まるなかで、新興途上国におけるソーシャル・イノベーションへの投資によって、「投資先の取り組みから学ぶ」「投資先のイノベーションを自社に取り組む」といった発想でインパクト投資に臨む企業を増やしていけないかと考えているそうです。
この「R&Dとしてのインパクト投資」は、Impact HUB Tokyo槌屋が今回のロンドン出張中に訪問した、インパクト投資によるCVCのアドバイザリーなどを行っているVolansとの議論の中でも出てきたトピックのようです。(Volansはこちらのインパクト投資とCVCの融合に関するレポートを作成。)
CVCはどの部門が主導しているかでリターンの定義が変わる。事業部が主導するCVCはやはり金銭的なリターンを重視する傾向があり、インパクト投資には向かない。一方で、CSR部門やR&Dの部門は、市場や技術への学び、従来の協業先とは異なるネットワーク、中長期的な事業シナジーなど金銭的なリターン以外のリターンを目標に置くことができるため、インパクト投資に向いていると言えるようです。
より大きな仕組み(システム)に投資をすることで、大企業にとっては、リスクヘッジにつながる
ー Impact HUB Tokyo:ポチエ真悟
最後に、新しい金融商品、新しいR&D手法という視点に加えて、Impact HUB Tokyoのポチエ慎吾からは「より大きな仕組み(システム)に投資をすることでリスクヘッジにつながる」という視点が提案されました。
従来の「社会・環境へのネガティブな影響を与えない経済活動」を追求する視点からさらに一歩踏み込んだもので、企業活動が生まれる地域全体にポジティブな影響を生み出すような投資を行い、かつ事業のエコシステム全体が育つようにシステム全体をマネジメントしていくことでことで、より大きなリターンが得られるようになるのではという考えを提案していました。
イベントレポの続きはこちらから!
第4回「ソーシャル・インパクト・ボンドの「失敗」
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