これまでの地域金融とインパクト投資って何が違うの?

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7/24(金)に開催した「インパクト投資の最前線はここだ!:G8タスクフォースチーム、ロンドン出張報告ミートアップ」の報告レポです。ご関心のある方は以下から他の記事もご覧ください!

第1回「なぜ、どうやってインパクトを評価するのか?」
第2回「これまでの地域金融とインパクト投資って何が違うの?」
第3回「大企業にとってのインパクト投資=コーポレートベンチャーキャピタル?」
第4回「ソーシャル・インパクト・ボンドの「失敗」

 イベント後半では参加者の中から有志のメンバーが議論のテーブルに参加。より多角的な視点から、インパクト投資を深掘りしていきました!

当日の議論の様子

 

インパクト投資って本当に新しいものなのか?

ー A SEED JAPAN 土谷和之

 はじめに参加して参加したのは環境NGO、A SEED JAPAN代表の土谷さん。NGOでの活動を通じて信用金庫やNPOバンクなど地域金融の分野に携わってきた経験から思うのは、「インパクト投資って本当に新しいものなのか」という疑問。

 今さらインパクト投資などと言わなくても「社会的金融」「共同金融」などは昔からあった概念で、日本では信用金庫などが該当するし、70年代にワーカーズコレクティブなどの団体が台頭したり、他にも市民出資で地域に根ざした事業を立ち上げるという動きも存在してきました。

60年代から社会的金融を唱えていたようなおじちゃんやおばちゃんと、ウォール街出身の人がごっちゃになって、インパクト投資について議論している

ー 日本財団 工藤七子

「以前SOCAPに参加した際に、こうした地域金融のプレイヤーと、インパクト投資を通じて新たに参入してきたプレイヤーとが混在している状態が面白かった」と語るのは日本財団の工藤さん。

 60年代から社会的金融を唱えていたようなおじちゃんやおばちゃんと、ウォール街出身の人がごっちゃになって、インパクト投資について議論している。SOCAPにはやはりこうした時代が混じり合うダイナミックな動きが存在しているようです。

 工藤さんいわく、実際にフランスの年金基金では個人が望めば10%をインパクト投資に分配でき、その中には組合やワーカーズコレクティブなどが投資先として組み込まれているそうです。ここで疑問に思うのが、日本で協同組合などの地域金融とインパクト投資がつながっていないのはなぜか?伊藤健さんはそこにはオーナーシップに対する思想的な違いが存在していると語ります。

 協同組合の発想の起源とは「オーナーシップが独占されることで分配が歪められる、分配を平等にするためにオーナーシップを平等にしよう」ということであり、そのために「一人一票の原則(株の数ではない)」を重視します。

 一方でインパクト投資では「オーナーシップは関係ない、とりあえずインパクトを出せばいいんじゃない!」というスタンスで、一人一票の民主的な組織構造ではイノベーションが生まれないじゃないかという考えが存在しています。この起源の違いがあるため、断絶している感があるというのです。

 共に社会的価値を重視した投資を掲げていても、オーナーシップの構造の違いでその意思決定のプロセスに対する考え方が変わってきます。協同組合などのモデルでは、事業の運営者が意思決定に関わることで地域や従業員に対する配慮が失われない意思決定ができるということを目指しています。

 一方で、オーナーシップを少人数に集中させることでよりドラスティックに、インパクトを追求した意思決定ができるのではないか。Impact HUB Tokyoの槌屋は株式会社HUB Tokyoでもコファウンダーが過半数の株を持つことができているため、今後も自分たちのビジョンに合わせてビジネスモデルを大きくピボットできる可能性を残せている、他の社会的企業もそうあってほしい、と語りました。

 地域金融とインパクト投資のつながりの話から、オーナーシップをめぐる組織のあり方の多様性まで、思想的な話も含め、非常に幅広い議論ができました。今回のSOCAPでも地域金融(Neighborhood Economy)がテーマとして掲げられています。古くからあるモデルを、今のインパクト投資の潮流と融合させていくことで、新たな資本主義の姿が見えるのではないか、そう考えている人たちが多く集まりそうです。

 

イベントレポの続きはこちらから!
 第3回「大企業にとってのインパクト投資=コーポレートベンチャーキャピタル?」
 第4回「ソーシャル・インパクト・ボンドの「失敗」

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