7/24(金)G8タスクフォースチームの「ロンドン出張報告ミートアップ」を開催!
Impact HUB Tokyoでは7/24(金)に「インパクト投資の最前線はここだ!:G8タスクフォースチーム、ロンドン出張報告ミートアップ」を開催。日本財団の工藤七子さんとAsian Venture Philanthropy Network代表の伊藤健さんをゲストに、先日開催されたロンドンでのプレナリーミーティングで行われた世界最先端の議論を踏まえ、インパクト投資を深掘りしました。全4回のシリーズに分けて、少し背景の補足も加えながらお伝えしていきます!
第1回「なぜ、どうやってインパクトを評価するのか?」
第2回「地域金融とインパクト投資の共通点と違い」
第3回「大企業にとってのインパクト投資=コーポレートベンチャーキャピタル?」
第4回「ソーシャル・インパクト・ボンドの「失敗」
インパクトはどうやって測る?
はじめのトピックは「社会的インパクトの評価」について。インパクト投資とは、金銭的なリターンとともに社会的なインパクトを志向する投資。では具体的に何が「社会的なインパクト」であるのか、どうやって測るのか、そもそもなぜ計らないといけないのか。そんな議論から始まりました。
「社会的インパクト、つまり社会的価値を客観的に計ることはできない。社会的価値は主観的価値の寄せ集めでしかない。大事なのは主観的価値の寄せ集めを合意すること。」そう語るのはインパクト評価のエキスパートである伊藤健さんです。ソーシャル・インパクト・ボンドやSROI(Social Return On Investment)であれば、事業主体、中間支援組織、行政などのステークホルダー間で何を社会的インパクトのKPIとするかを事前に合意し、透明性を持って計測することが必要です。
今回のロンドンでの会議もそうでしたが、世界でもまさにこのインパクト評価に関連した議論が継続中のようです。日本財団の工藤さんからは、世界的には社会的インパクトを評価するための共通のガイドラインを策定しようとしている一方で、こうした共通化の動きが、かえって個別ケースに対応できないフワッとした内容になってしまっている、という舞台裏での議論があったとの共有がありました。
起業家にとってのインパクト評価とは
Impact HUB Tokyoの槌屋からは起業家にとってのインパクト評価について語られました。過去にインド農村地域でソーラーパネルビジネスを展開するインドでの起業家と仕事をすることがあったそうで、その時に言われたのは「インパクト投資家=うるさいやつら」だったそうです。投資家たちは「何件ホームシステムが入りましたか?学校には入れましたか?」など、事業にとって本質でないKPIを設定したがった。こうした話からも、起業家と投資家が一緒にKPIを立てられる状態が非常に重要であると言えます。
また、こうした起業家との議論の中で、投資家側の視点ではデューデリジェンスにかかるコストをテンプレ化によって下げたいと考えている一方、そのプレッシャーが起業家にしわ寄せされることが課題だと感じていたそうです。これは、前述したロンドン出張でも取り上げられていたインパクトの測り方の共通ガイドライン化によって、個別ケースへの対応ができなくなることと同様の問題と言えます。
社会的インパクトを、行政政策の価値と比較することが必要
インパクト評価は難しい、起業家にとって本当に必要なのか、という議論は会場を巻き込みながら続きました。その後伊藤健さんが語ってくれたのは「なぜインパクト評価が必要なのか」です。「なぜ」を考える際に重要になるのは、ソーシャルビジネスなどの社会的価値を生み出すことが前提のビジネスでは、サービスの受益者と被益者が異なるという点です。
伊藤健さん曰く、被益者へのインパクトは市場原理では測れない。それゆえ社会的インパクト投資のベンチマークは「行政が生み出している公共の価値」となり、それとの比較のためにインパクト評価が必要になる、というロジックです。例えば、癌の検診率を上げることが行政の目標であるなら、その目標が社会的インパクト投資でもKPIとなり、その達成が成功の定義となります。
「インパクト評価」を通じて何を、なんのために、どうやって評価するかには普遍的な答えはなく、個別のケースに応じてステークホルダー同士が合意する必要があるように感じます。
インパクト評価は国内外で議論が続いているテーマなだけに、まだまだ深掘りしたいところでしたが、本イベントでは一旦ここまでで時間終了。次のテーマに移りました。
イベントレポの続きはこちらから!
第2回「地域金融とインパクト投資の共通点と違い」
第3回「大企業にとってのインパクト投資=コーポレートベンチャーキャピタル?」
第4回「ソーシャル・インパクト・ボンドの「失敗」
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