SOCAPが選んだ起業家、村上千恵の「ピースダイヤモンド」 に迫る!

SOCAPでの一幕。

社会へのインパクトを追求する起業家が世界中から集まるSOCAPカンファレンス。その中でも、厳選された100人程の起業家たちが2日間に集中トレーニングを受けるImpact Accelerator Program(以下IAP)は、SOCAPカンファレンスのハイライトの一つ。 今年は、HUB Tokyoからも日本の起業家たちへ広く告知をし、応募を呼びかけました。そして、初めて日本の起業家が1人選ばれました!  

 

ダイヤモンドに関わるすべての人をハッピーに!

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世界400人以上の応募者の中から見事100人に選ばれたのは、株式会社ピースダイヤモンドの村上千恵。 「ダイヤモンドに関わるすべての人をハッピーに」をビジョンに掲げ、倫理的に採掘・取引されたダイヤモンドのみを使用したダイヤモンドジュエリーの販売と、アフリカをはじめとする途上国でフェアトレードダイヤモンドを生み出すための活動を行います。 なぜ彼女は「ピースダイヤモンド」にたどり着いたのか。今回はそんな彼女のインタビューをお届けします。

 

美しさの裏にある黒い歴史を知ってしまった「責任」

87ec3f_5b2825946ec641c2acac939c64de8552HUB Tokyo (以下、HT) – そもそもどうしてピースダイヤモンドの事業を始めようと思ったんですか?  

ピースダイヤモンド 村上(以下、村上) – きっかけは、自分がもらった婚約指輪です。すごくきれいで繊細な作りに感動しました(笑)そして、あまりにキレイだったので、ダイヤモンドについて色々調べてみたんです。そしたら、あんなに美しいダイヤモンドにも黒い歴史があるということを知ってしまったんです。採掘の裏にある強制労働や児童労働とそれを隠す複雑な流通ルート。その売買が紛争用の武器の購入を促進している現状。そして、それが知られないまま、日本はダイアモンド消費量世界4位であるという事実。これは、「何かしろ」と言われているのではないかと感じたんです。知ってしまった者の「責任」というやつですかね。

 

援助の対象から、仕事のパートナーへ

村上 - 私は2011年までアフリカ、ケニアで国際開発の仕事をしていました。その中で感じたのは「援助では、人は自立できない」ということでした。既存の国際援助の枠組みの限界を感じると同時に、仕事で得た対価で自分の家族を養うことが出来て初めて、人間としての尊厳を維持できるのではないか、ということを強く感じていたんです。仕事のパートナーとして現地の人々の自立につながる活動をしたいという想いは、今回の事業とも深くつながっていると思います。  

 

「エシカルジュエリー」に対する違和感

HT -「エシカルジュエリー」という言葉も、日本でもちらほら聞かれるようになりましたね。

村上  – そうですね。でも、既存の「エシカルジュエリー」の多くが、自分たちで認証をし、それを自分たちで売っているのも事実です。結果として、「エシカル」を唱えること自体が目的となり、実際の「倫理」を妥協してしまっているケースも多くあるような気がします。アフリカなどで採掘されたダイヤモンドは、様々なルートを通ってベルギーやインドなどに一度集積されます。正規の流通ルートで入ってきたダイヤモンドも闇の流通ルートで入ってきたものも、そこで全てごちゃ混ぜになるのです。ですから、仕入れ・販売側の中には、自分が扱うダイアモンドは「エシカル」なものだと信じて、どこかで紛れ込んだ闇のダイアモンドを売っている人達もいます。

一方、そういった中で、採掘から加工・販売まで、全てのプロセスにおいて倫理的に考慮されたダイヤモンドを調達するためには、
それに見合うだけのコストがかかります。その結果、実際はマーケットを前に、「エシカル」を妥協せざるを得ないケースが多いと
考えています。例えば、映画「ブラッドダイヤモンド(Blood Diamond)」でも取り上げられた、コンフリクトダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)というのがあります。実は、この言葉の解釈はいろいろあって、反政府軍の扱うダイヤモンドのみを紛争ダイヤモンドだと解釈し、政府軍が児童労働や弾圧によって採取したダイヤモンドは問題のないダイヤモンドとして取り扱われるジンバブエ等のケースもあるんです。 これらは結局のところダイヤモンドの複雑な流通ルートに紛れて、流通していきます。そういったものを「エシカル」だよ、と言って販売するようなことは、私は絶対にしたくないんです。だからこそ、オランダのジュエル・ツリー財団という世界で唯一の国際的エシカル宝石認証機関と連携し、「第三者機関を通して客観的に倫理的であると証明されたダイヤモンドの使用」にこだわっています。      

 

「ピースダイヤモンド」というジャンルを構築したいpiece diamond

私たちがしたいのは、「エシカル」を唱えることではなくて、ダイヤモンドを通して「人々の自立を支える」ことです。「ダイヤモンドに関わる全ての人をハッピーに」というビジョンが意味するのは、ダイアモンド事業に関わる全ての人々が、仕事で得た対価によって、家族を養い、人間としての尊厳を維持していく、ということなのです。 そういう意味で言うと一般的に出回る「エシカルジェリー」と一括りにしてほしくはないと思っています。「ピースダイヤモンド」というジャンルをつくりたいですね。

そして、私たちは、デザインや技術にもこだわっています。日本の職人さんの優れた技術が生み出す繊細なデザインによって、ダイヤモンドが本来持つ美しさを引き出すこと。そこは妥協したくありません。 なぜなら、その品質に「正当な対価」を払ってもらうことにこそ意味があり、それを実現することこそが本当の意味での「倫理的」なのだと考えています。消費者に向けて「エシカルなので買って下さい」ではないはずなのです。  

 

メディア・広報戦略担当プロボノ、募集中!

HT -  9月にウェブサイトがオープンするそうですね。これからいよいよ、というところだと思いますが、現在悩んでいることや課題はありますか?  

村上 -  一つはブランディングです。フェアトレード活動を行なうアフリカの土臭いイメージと、キラキラした夢を提供するダイヤモンド。その両者の全く異なったイメージを上手くバランスするためには、どういった見せ方をすればいいのか、というのが一つの課題です。「エシカル」を押し付ける、優等生ブランドにはしたくないです。私たちの理念に共感して、手伝って下さる方がいると嬉しいです。あとは、これから自分たちの世界観を表していくためにも、お店を構え、人を雇っていく必要があります。なので、資金面で相談出来る人がいると嬉しいですね。SOCAPのIAPでは、資金調達もブランディングも、既存の方法論に囚われないやり方で、ビジョンを実現していくヒントを得たいと思っています。海外の面白い起業家達とつながり、切磋琢磨できる関係性を築いていきたいです。

(インタビュー終わり)    

 

「ソーシャル」や「エシカル」などキャッチーな言葉は、浸透しやすく、とても魅力的に移る反面、その言葉を唱えること自体が目的になってしまいがちです。そんな時に、言葉に囚われて抜け落ちてしまった本質的な部分を、冷静な視点で見つめ直すには、ぶれない信念と忍耐が必要なのだと感じます。インタビューでも笑顔で対応してくれた村上さんの表情の裏に、そんな力強さと時代への反骨精神を感じました。IAP、SOCAPでの活躍に期待大です!彼女のビジネスに興味がある方は info@peacediamonds.jp まで連絡を!

(インタビュー・執筆:小林 泰紘 写真提供:ピースダイヤモンド、HUB Tokyo)  

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