SOCAP参加者インタビュー:果たして企業はこのままでいいのだろうか?【前編】

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*こちらの記事は2012年 11月のインタビュー及び執筆になります。

SOCAP12 参加者インタビュー vol.1

株式会社ベネッセホールディングス 三木貴穂さん

  10月に行われたSOCAP(Social Capital Market: ソーシャルキャピタルマーケット)カンファレンス参加者のインタビューを発信していくVoices From SOCAP。 第一弾は、株式会社ベネッセホールディングスから参加して頂いた三木貴穂さん。グローバルソーシャルビジネス室の立ち上げにも携わり、同社におけるソーシャルビジネス事業の開発を推し進めています。大企業の立場から、日本のソーシャルビジネスのエコシステムについて熱く語って頂きました。 (*会社としての話にも触れていますが、以下の発言はあくまでも三木さん個人としての見解です。)

Impact HUB Tokyo撮影。会場で日本チームに語りかける三木さん。

 

質量ともに変わりつつある現代の社会課題にどう取り組むか

小林 – そもそもどうしてSOCAPに参加されようと思ったんですか?  
三木 – 私たちは教育や介護といった公共サービスに近い領域の仕事をしていますが、その中で現代の社会課題は、質量共に変わりつつあるということを感じています。国内であれば政府による公共サービス、海外であればODAによる支援、といった旧来のフレームワークだけでは解決できない問題が増えてきて、今までは民間企業や個人がやれることもあまりなかった領域も、実はできることが増えているのではないか、ということにだんだん気がついてきました。

つまり、民間企業にもメリットがあるやり方で、世の中の社会課題を解決していくことができるようなフレームワークはあるんだ、と考えるようになったんです。例えば我々、教育企業にとって、現在の日本の少子化はビジネスに確実にマイナスの影響を及ぼしています。ですので、少子化を招いている社会的な課題の解決に取り組んでいくことは事業上も大いにメリットがある、そこをビジネス領域として捉えていくという考え方、それこそマイケル•ポーターのCreating Shared Value(CSV)という考え方はありうるのではないか?と思い始めたわけです。  
(注釈:Creating Shared Valueとは、企業が社会課題の解決と密接に結びついた事業活動を行っていくことにより、自らの競争力を高めることができる、という考え方。共有価値の創造などと邦訳される。2010年にマイケルポーター教授によって、企業の経営戦略のひとつとして提唱された。)  

 

ソーシャルセクターはイノベーションがたくさん起きている

三木 – こういった動機から、グローバルソーシャルビジネス室を立ち上げました。ベネッセはこれまでもCSRには力を入れてやってきましたが、「寄付ベースで行う支援」という枠組みは、規模的にも持続可能性という面でやはり限界があります。そして、日本の企業は持続可能なビジネスモデルを組み立てるのが得意なはずなのに、そこであまり貢献できていない、ということに強い問題意識を持っています。  

また、企業というのは、お客様や株主、従業員等関わっている様々なステークホルダーがいて成り立っている、という当たり前の事実に立ちかえって、社会課題の解決でも、そういった個人も含めたマルチステークホルダーを巻き込んだ取り組みができないか、とも考えています。そういった観点で、今回のSOCAPのテーマでもあるImpact InvestmentやCrowd funding、そしてソーシャルビジネスについて調べる必要があるなと思ったんです。調べていく中で、ソーシャルな領域では面白いイノベーションがたくさん起こっているんだということがわかってきました。例えば、マイクロファイナンス。あんな小口のファイナンスがビジネスとして成り立つなんて従来の金融の常識からするとありえない。でも実際それが起きている。今までのビジネスマンとしての経験からは絶対に想像できないようなことが起きていて、そういうところに強く惹かれました。なので、こうしたソーシャルの領域にお金を流していくImpact InvestmentやCrowd Funding の盛り上がりをちゃんと理解しておきたいというのがSOCAP参加の動機でした。また、アメリカでは今年(2012年)3月にJOBS Actが通りました。つまり、エクイティベースのクラウドファンディングができるようになるんです。その情報収集のタイミングとしてもSOCAPは丁度良かったっていうのもありました。  

(注釈:JOBS Actというのは Jumpstart Our Business Startups Actのこと。新興企業の市場内外での資金調達力を高めるための法改正で、中でもCrowdfunding exemptionと呼ばれるクラウドファンディング条項が注目されています。これにより、非公開企業が不特定多数の投資家に対し、登録なしに少額の募集を行うことを可能になります。詳しくは後編で!)

後編では、三木さんが実際にSOCAPに行き、感じたことや得た発見などについて語って頂きます。 >>後編へ

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