- 2015-11-30
- インパクト, ニュース、トレンド, 組織
- B Corp, コンシャスカンパニー
「日本では、セレブのジェシカ・アルバが有名だからね、日本で広める時には彼女を起用しようかって話をしてるんだよ。彼女の会社は100億円調達したThe Honest Company (オネスト・カンパニー)っていうんだけど、あれもB Corpなんだよね」
B Corpの認証を管理する組織「B Lab」は、Impact HUB Bay Areaの一員だ。その組織のBenと、サンフランシスコで出会った時、そんな会話で話が始まった。B Corpって聞いたことない方も多いかもしれない。ジェシカ・アルバが気になる人にも、それ以外にも面白いポイントがたくさんあるB Corpの魅力について、ぜひ知ってもらいたい。
(*Impact HUBとは:本メディア「Impact Compass」を運営するImpact HUB Tokyo
は、Impact HUBグローバルネットワークの一員。世界中に73都市のImpact HUBが存在し、社会的なミッションを持った事業を立ち上げる人たちのコワーキング、育成、エコシステムを作っています。Impact HUB Bay Area はサンフランシスコにある拠点のひとつ。)
「いい会社」を経営する経営者たち、集まれ!
B Corpとは、アメリカにおける法人制度C Corpのオルタナティブとして発生したムーブメントの一つで、A-B-Cの「B」と、Benefitの「B」を掛け合わせて、「いい会社として経営している会社たち」に認証を与えるムーブメントだ。
今やアメリカには3000を超えるB Corpが存在する。B Corpのマークがつくだけで、「お、これもB Corpか」と思える商品はたくさん存在する。Whole Foods Marketや、少しコンシャスなお店に行ってみてほしい。そこでたくさんのこのマークの存在に気づくだろう。
アメリカでは、B Corpの動きが本格化してからかなりの年月が経つが、昨年 Benefit Corporation(ベネフィット・コーポレーション)という法人形態が制度としても成立し、各州で順々に導入が進んでいる。B Corpは認証、Benefit Corporationは法人形態のことを指すので、間違えないようおぼえておくといいだろう。
ポイント⑴ B Corpは実はボトムアップだった
B Corpの認証が面白いのは幾つかのポイントがある。その一つが、お上に押し付けられた認証制度ではなく、ボトムアップ、グラスルーツ的に始まった認証であること。
次世代の経営にコンシャスな社会的企業の経営者たちが、集まり、どういうアセスメントの基準にすべきかを相談しあい、そして決まっていった認証制度だ。そのため、「何が良い会社かどうか」は、自分たちが基準を作っていく、という意識が強い。
日本でどんな企業が興味をもつ?と言う話になった時、Benはあからさまに「面白い企業がいいな」という顔をした。「イノベーティブで、動きが自由で速くて、そして、自分たちの軸を持っていて、ぶれていないスタートアップがいい。」
なぜなら誰でもなれる認証ではないからだ。B CorpはB Corpを持つ企業たちが、自分たちに貼ったラベル。そのラベルを誰にでもつけてもらっては困る。自分たちと同じくらいイノベーティブで挑戦的で面白くてクールな奴らに、世界中でつけてもらいたいラベルだ、という意味だ。
ポイント⑵ B Labが世界中で発足中
B Corpの認証が面白い2つ目の点は、世界中で拡散されつつある、ということ。今年の夏に初めてアメリカ以外でB Labが発足した。以下は、B Lab UKのオープニングのビデオだ。
(参照動画URL:https://youtu.be/GC3zddVN9dU)
(参照URL:http://www.sustainability.com//news/video-of-uk-b-corporation-movement-launch-now-live#.VlYztYT4Q3h)
UKでは共感した人たちが自分の会社をぜひB Corpにしたい、と、今では600社のウェイティングリストになっていて、B Lab UKは1社1社と対話するので大変だ、と語っていた。(2015年7月時点)
ポイント⑶ 法人制度とセットになって、一つの輪に
B Corpの認証が面白い3つ目の点は、法人形態とセットになったということだろうか。これはまだアメリカだけなのだが、もともとは自分たちで自分たちのラベルを貼るという草の根運動が認証やブランディングへと見事に昇華し、そして、その後、法的な制度にまでなった、というのは面白いストーリーである。
Benefit Corporationを最初に法人形態へと制度化した弁護士とも話をしたが、会社法へB Corpの内容を導入させていくことは、法的にも様々なチャレンジがあったという。だが、「B Corpは投資家以外のステークホルダーを取り扱い、Benefit Corporationは投資家のステークホルダーを取り扱う、と考えると、うまく整理できるよ」とのこと。
つまり、B Corpは顧客・労働者や社員・地域住民など投資家以外にケアしなければならない人たちと、その会社がどう付き合っているかを評価する仕組み。そして、 Benefit Corporationがあって初めて、投資家との付き合いについても評価や制限ができる仕組みになったということ。両方があってようやく一つの輪を描けたような形になる。
B Corp特集は続きます!
今後Impact Compassでは、B Corp特集として、他にも様々なポイントを取り上げていく予定。実際に、筆者の会社はB Corp取得に向けて動いているため、その点も踏まえて、体験談なども織り交ぜお知らせしていく予定だ。
ご興味のある方は是非、Impact Compassを追ってほしい。(Facebook ページで「いいね」していただけると、アップデートが届きます!)また、もしB Corpに興味のある方はぜひコメントかメールにてご連絡ください。
この記事の執筆者
- Twitter:@shinokko
- 2012年よりインパクトを作り出す人たちの拠点「Impact HUB Tokyo」を設立。2013年より起業家育成プログラムを設計、海外のプログラムのローカライゼーション・アドバイザー、企業の社内起業家育成スキームの設計、また、企業ベンチャーフィランソロピー分野で投資アドバイザーとして活動。
この執筆者の最近の投稿
- 2016.02.10インパクト社会に求められる会社になるにはーBコーポレーションを取得するまでの道のりが会社を変える
- 2015.12.19働き方起業家が必ず直面する厳しい現実と、燃え尽きを防ぐための4つの方法
- 2015.12.16働き方社会的企業に転職するのに必須の3つのスキルとはー CEOが求める人材の条件
- 2015.12.09インパクトFacebook創業者による多額「寄付」への賛否両論まとめ