企業は意識が高ければ生き残れるか?ーコンシャス・カンパニーに立ちはだかる壁

コンシャスカンパニー

コンシャス・キャピタリズム」という言葉を聞かれたことはおありだろうか?アメリカの企業を中心に広まってきた概念で、これからの企業や資本主義のあり方を示すコンセプトとして一種のバズワードとなってきた。

 ステイクホルダーとの共存、利益だけでなく社会的な目的を意識して事業を行う事。そして経営陣がその事業に沿ったリーダーシップ像と企業カルチャーを築く事。それがコンシャス・カンパニーに挙げられる条件だ。マイケル・ポーターが提唱する”CSV”と並んで、中長期での繁栄を目指す企業像として支持を集めてきた。

 

苦戦するコンシャス・カンパニー

 このコンシャス・キャピタリズムが提唱されたのは、著書「Conscious Capitalizm」(邦題『世界で一番大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー』)において。その中で取り上げられている会社は、パタゴニア・トヨタ・スターバックス・タタなどである。

 そして本書に共同著者として参加したのが、ホールフーズの共同創業者であるジョン・マッキー。ホールフーズは、そのコンシャス・カンパニーの筆頭格と言える。

 しかし、そのホールフーズが苦戦している事をご存知だろうか?連日メディアに名前が挙がるホールフーズ。その見出しは苦戦を伝えるタイトルだ。その様子を象徴するのが同社の株価。半年間で実に41%の下落とかなりの下げ幅を記録している。この間中国の失速などの世界経済の外部要因はあったとはいえ、無視できない株価の下落だ。

 直接の引き金となったのは、店舗における重量表記ミスと過剰請求という夏に起きたニュースが招いた不信感であった。ただ既存店の売上が四半期で減少に転じるなど、その成長自体が頭打ちとなっている事が浮き彫りになっている。オーガニックフーズを取り扱うスーパーマーケットとして、多くの消費者を惹きつけてきた同社だが、競合他社の増加とその価格帯の高さが重しとなり減速を余儀なくされている。

 

サステナビリティ戦略は幻なのか!?

 既存のビジネスを倫理的な視点で見つめ直し、社会において持続可能な組織体を形作る事。それが中長期で企業としての競争力の獲得・繁栄につながる。それがサステナビリティを叫ぶ人たちにおける暗黙のコンセンサスとされてきた。だとしたら近年のホールフーズの失速をどのように受け止めるべきであろうか?

 コンシャス・カンパニーというコンセプトが浸透した今、求められるのはナイーブなコンセプトの連呼ではなく、むしろそれを企業の事業活動に落とし込んでドライブしていく強かさではないだろうか?

 中長期における企業活動を見つめる事が大事であるとするならば、目先の株価に一喜一憂するべきではないのかもしれない。だがホールフーズの失速が、同社を支持してきた消費者たちの不安を煽る事も事実である。事業活動の経済的側面と社会的側面。上場企業としてその難しい舵取りを迫られるホールフーズ。その次の一手に期待したい。

 

冒頭写真 Photo by Mike Mozart@flickr: https://flic.kr/p/oAMcuE

この記事の執筆者

山口 洋一郎
Impact HUB Tokyo Investor Relations担当。慶應義塾大学を卒業後、大和証券株式会社にて個人投資家向け営業を担当。2013年にはImpact HUB Tokyoを通じてSOCAPに参加。社会的投資の分野に深い関心を持ち、2014年には国際協力NPO/Acumenの大阪支部であるOsaka+Acumenの立ち上げを主導。2014年末に大和証券を退職後、2015年2月よりImpact HUB Tokyoに参画。SOCAP Japan Teamプロジェクトをリードしている。

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