前編のインタビューにて、起業に至るまでのストーリーをシェア頂いた鳥居さん。後編では、鳥居さんがSOCAPを通してどのように加速していきたいと考えているのか?今後の展望を含めて伺います。
前編インタビューはこちら!
>>SOCAP15インタビュー:【前編】証券会社勤務、長野へ移住の後、起業して抱く市民起業家を創るという目標。
山口 – 長野でのアクションを模索する中で、クラウドファンディング、インパクト投資というキーワードに行き着いたのだと思うのですが、今年参加をされるSOCAPについて知ったきっかけ、参加理由について教えてください。
鳥居 – Impact HUB Tokyoのインタビューだから言うわけではないですが、(笑)Impact HUB Tokyoに関わる中でものすごく影響を受けていて。Team360への参加、CREEKS(長野のコワーキングスペース)で一緒にコミュニティを創る仕事など。Staus Quo(現状)を良しとしない、常に現状に疑問を持って動いて行くという考え方は、私自身の考え方と近く響きました。見たい世界が近いんだと思います。それからImpact HUB TokyoのHPの記事を読んでいるうちにSOCAPの事を知って、絶対に行くと決めました。
山口 - SOCAPへの参加にむけて、インパクト投資というキーワードがあると思うのですが、今長野で動かれていて感じるインパクト投資の面白さはどんな所ですか。
鳥居 – 長野で動いていて感じるのは、受益者からお金をとるだけでは難しい現状が多くあるということです。ただなんでもかんでも補助金では自立できない。寄付も必要な部分もありつつ、次につなげるためには足りない部分もある。地域の課題を見る中でそのような考え方になりました。
金融の仕組みを使って、てこの原理のようにより大きくレバレッジをかけることで、解決できる事がいろいろとあるのではないかと思っています。金融と人の心理とをうまく組み合わせて大きなインパクトを起こせる、という事に可能性を感じています。
山口 – 10月のSOCAPに向けて楽しみにしているのはどんな所ですか?また出会う人に、鳥居さん自身の事をどのように伝えていきたいと思っていますか?
鳥居 – 一つは、社会的インパクト投資に対して様々な考え方をしている人との出会いです。自分に見えている以外の世界の見え方、クリエイティブな発信の仕方を知りたいです。自分の世界が広がる、そして理解が深まる。同じ志を持っている人との出会いが楽しみで、私にとっては今年のビックイベントです。
あとは社会的インパクト投資について、それを知らない人たちをどうやって巻き込んで行くか、という課題があるのでこのテーマについて深めたいですね。裾野をどう広げるか。SIBや行政よりも、もっと小さい単位でも考えられると思っていて。町単位、コミュニティ単位など、規模は違っても同じマインドセットを持っている人が増えるのが重要だと思っています。ですので、他の国ではどうやってやっているんだろうか、であるとか共通の課題があるとしたら、チームとして何ができるのかを見てみたいと思っています。
山口 - SOCAPからの帰国後、こうなっていたい。こういうアクションにつながっていったら、というイメージはありますか?
鳥居 - 市民起業家を創っていきたい、という目標のために、どういうものだったらインパクトを出せるのか、という自分の基準を持てるようになりたいと思っています。事業領域、事業のやり方まで。そして、今分かっている以外の投資のやり方を発想できるようになりたいと。クリエイティブなファイナンスの方法をもっと発想できるようになりたいです。それが長野という今の立ち位置だからこそできることだと思ってます。
山口 – 大手金融機関では一種のスタンダードがあり、インフラを維持して逸脱しないようにすることに優先順位が置かれていたと思いますが、今はゼロから仕組みをつくるために、違う発想をしようとされていると?
鳥居 – 破壊欲が強いので(笑)破壊して創るのが好きなので。
山口 – という事は今のフィールドで、創る上で障害になるかもしれない、というものも見えてきているということでしょうか?
鳥居 – 例えば補助金とか。補助金が全て悪い訳ではないですし私自身もそういう傾向がありますが、地元では新しいプロジェクトをやるときに、皆さん補助金・助成金は基本に考えている方が多い。それがある、と思っていると必要に迫られないので、他の方法を考えない。そこを壊す。これから特にシード期の起業家と仕事をしていきたいと思っています。まだまだ起業というと、ハードルが高いイメージがあります。ただ町のとある問題を何人かで解決したいという時に、プロジェクト的な動き方をして社会課題を解決していくという方法がもっとあっていいと思っています。そうした人を巻き込んで動く、という部分を多く創っていきたいですね。
山口 – 伺っていると、”市民起業家を創ること”も”インパクト投資”も、「一人一人に引きつけ直して、背中を押す」という事をされようとしているのかなと思いました。私自身もそのような事業を通してどう収益を挙げて行くか。そのヒントをSOCAPで探りたいと思っています。
私自身Impact HUB Tokyoでホストとして起業家としてのコミュニティを支える仕事をしています。自分自身に起業経験があるわけではない中で、いかに起業家の背中を押せるか。人生を賭けて、覚悟を持って動いているパワフルな人たちを前にして、そこであえて自分に何ができるのかをよく考えることがあります。鳥居さんはこういったインキュベーターのジレンマみたいな事を感じることはありませんか?
鳥居 – 分かります。私自身は、自分でもリスクをとって起業家に関わっていこうと思っています。支援だけではなく、最初の立ち上げ時期は自分もがっちり入る。主体者はあくまでも起業家本人ですが。そしてある程度関わったら次へいく。最初にそのプロセスを学んだ起業家が、次は支援側になるという流れをシリアルにつなげていけると理想的ですね。
私自身は、”これだけ、一つだけ”という起業方法ではありません。それを決めてる人を見て羨ましいと思う事もあります。でも私自身は決められないというより、様々な起業家やプロジェクトに連続的に関わって行く事が、自分に出せる一番のインパクトなのかなと今は思っています。
山口 – 最後にこの記事を読まれている方に向けて、Japan Teamとしてどんな参加者の方とSOCAPに一緒に行きたいですか?
鳥居 – SOCAPでの一週間は普段の環境とも普段と違い、かなりインテンシブな期間だと思います。普通のオフィスの会議室とは全く違うので、自分の内面的な部分についてお互いにさらけ出して話していきたいですね(笑)私の究極の目標は、”平和”。人が仲良くなるのには、ご飯を一緒に食べたりも大事だけど、一緒に仕事やプロジェクトをするのが一番深い関係を築けると思っています。ですのでSOCAPのJapan Teamでもそういう関係性になれたら嬉しいですね。濃過ぎて引かれるかもしれないですが(笑)
(完)
[インタビュアーより一言]
ご自身のバックグラウンドから長野でのチャレンジに至まで、余す事なく話して頂いた鳥居さん。インタビューは、笑いの絶えない楽しい時間となりました。
「市民起業家を創るために、インパクト投資を一人一人に引きつけ直して、背中を押す。」
鳥居さんの取り組みがSOCAP参加を通してどのように進化していくか。オーガナイザーとして共にSOCAPに向かう私もとても楽しみにしています。鳥居さんを初めとして、SOCAP15 Japan Teamには続々と参加者が集まっています。鳥居さんのような起業家以外にも、大企業で動くイントラプレナー(社内起業家)を初めとして多彩な顔ぶれが集まります。今一歩前進したい、というあなたの参加を心待ちにしています。参加申込みは、7/25(土)まで!!
この記事の執筆者
- Impact HUB Tokyo Investor Relations担当。慶應義塾大学を卒業後、大和証券株式会社にて個人投資家向け営業を担当。2013年にはImpact HUB Tokyoを通じてSOCAPに参加。社会的投資の分野に深い関心を持ち、2014年には国際協力NPO/Acumenの大阪支部であるOsaka+Acumenの立ち上げを主導。2014年末に大和証券を退職後、2015年2月よりImpact HUB Tokyoに参画。SOCAP Japan Teamプロジェクトをリードしている。
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